本陣の設置は宿場ごとに最小限度に抑えられていました。
本陣を設置していてもそこから得られる収益はわずかだったからです。
しかし、参勤交代の時期ともなれば諸侯の往来も多くなり、本陣だけでは宿泊先が十分でない場合もありました。
その本陣の補助的役割として設けられたのが脇本陣です。
本陣と脇本陣の違いとして、
①本陣は門構があり、玄関付でしたが、脇本陣にはそれらがない場合も多いという構造上の問題。
②本陣の建設には補助金が出るが、脇本陣の建設には補助金が出ないのが原則。
ただし、①および②には例外も多く決定的な違いとはなりません。決定的な違いとして、
③脇本陣は参勤交代以外の比較的余裕のある時期には一般旅行者も泊まることができたが、本陣はできない。
という宿泊者の選別の問題がありました。
このように脇本陣は本陣をサポートする形で機能していたといえます。
参考文献:本陣の研究 大島 延次郎 吉川弘文館(昭和三十二年)