イギリスの初代駐日大使ラザフォード・オールコックは
北部九州の支配者階級と被支配者階級の関係について、
「(北部九州は)土地はひじょうに肥沃で、きわめて安い労働力をふんだんにつかって
土地を最大限に利用してはいるが、土地を耕作して生きていかなければならない人にとっては
剰余がほとんどのこされていないということである。生産物のうち、余分なものがあれば
大名とその家臣によって吸いとられてしまう」と語っており、江戸時代末期の
北部九州の農民たちの生活の苦しさが客観的な視点からうかがうことができます。
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また、オールコックは一国の生活費の高さ、安さは貨幣の額をどのくらい細分化しているかによって見当がつく、
との経済学者の言葉を引き、一文がイギリスの単位一ファージングの二十五分の一に相当することからその生活費は
安上がりであろうと推測しています。
「大君の都」 オールコック 山口光朔訳 岩波文庫(1962年)